美味しいケバブサンドとは、どんなケバブサンドなのか?
これまで色々な店のケバブサンドを食べてきた私が思う「美味しいケバブとはこれだ!」という条件を4つ紹介します。
一言でいえば、美味しいケバブサンドとは手間暇を惜しまない、丁寧な作りのケバブサンドです。では丁寧な作りのケバブサンドとは具体的にどんなものなのか。
本記事で紹介します。
また本記事で紹介している「美味しいケバブ」の条件に当てはまるお店は、以下の記事でまとめて紹介しています。
1:最後まで肉が食べられる盛り付けになっている
ケバブサンドは、以下の図のように上から肉、野菜、肉となるような盛り付けが理想的です。
逆に、以下の盛り付けは、個人的には少し残念な気がしてしまいます。
もちろん異論もあると思いますが、ひとまず紹介します。
まず、ケバブサンドの満足度を決める上でもっとも重要な要素といっていいのが、盛り付けです。どれだけスパイスや肉にこだわっていても、盛り付けが悪いとそのこだわりを活かせません。
というのも盛り付けが悪いと、肉、野菜、ソースをバランスよく食べることができず、具材の調和が生まれないからです。
たとえばハンバーガーやサンドイッチは、挟まっている具材を同時に口のなかに運ぶことに意義があります。すべての具材が口のなかで調和するからこそ、個々の具材だけでは引き出せない、何倍もの美味しさが生まれます。
ケバブも同じです。パンと肉、野菜をバランスよく口に入れてこそ、その美味しさが発揮されます。
究極的にいえば、盛り付けが良ければ、肉やパンが微妙でも、それなりに満足できるのです。
ケバブサンドの盛り付けとは何か?
ケバブサンドは、他のサンドイッチに比べると特殊な形状をしています。一般的なサンドイッチは基本的に上下から具材をサンドします。簡単に説明するなら上と下にパン、真ん中に具材という構成です。そしてどこから食べても、パンと具材は同じ割合です。
一方でケバブサンドは違います。
ピタパンはドラえもんの四次元ポケットのような形をしており、サンドするというよりは、具材を下から上に盛り付けていくようになります。
食べるときは上から下に進むため、普通のサンドイッチとは違います。どちらかといえば丼やパフェに近いです。
それゆえに、どこから食べも具材とパンのバランスが同じであるサンドイッチに対して、ケバブサンド(ピタパンを使った)は、盛り付け方によって、パンと具材のバランスに違いが生じます。
もちろんそれを計算した上で、一見アンバランスに見える盛り付けをしている店もあるかもしれません。たとえばパフェは上から下に食べ進めていくことを計算して具材を配置しています。
ケバブサンドもパフェのような計算があるなら、全く文句はないのですが、特に何の考えもなく、大雑把に盛り付けてしまう例が多いように思います。
アンバランスな盛り付けの例
私としては、以下の盛り付けは苦手です。
上図のケバブサンドは枠線がピタパンです。底(最下層)に野菜、表面に肉を盛り付けています。盛り付けの手順でいえば、最初に野菜を入れ、最後に肉で蓋をするようなイメージです。
この盛り付け方はよく見かけるのですが、残念な思いをすることになります。なぜなら最後が野菜になってしまうからです。肉は表面にしかないので、前半で食べ切ってしまいます。後半に残るのは野菜とパンだけなのです。
ケバブの野菜といえばキャベツが定番です。つまり後半に残るのはピタパンとキャベツだけです。パンのなかでも特に味気ないピタパンと、野菜のなかでも特に味気ないキャベツだけが最後に残ります。キャベツをおかずにパンを食べられる人がどれだけいるでしょうか。
バランスがとれた理想的なケバブの盛り付け
私たちがケバブを食べる理由は、スパイスが染み込んだ肉を食べたいからです。家庭では絶対に作れないようなスパイスの風味豊かな肉の味を楽しむためです。
ゆえにやはりケバブサンドの盛り付けは最後に肉をもってきてほしいところです。以下の図のように。
表面から肉、中間に野菜、そして最後に肉という構成。ピタパンのなかで、肉で野菜をサンドするような構成です。もしかしたらケバブサンドの「サンド」はこの意味で使っているのかもしれません。
それはさておき、この盛り付けなら最初に目当ての肉、途中で野菜の休憩を挟んで、最後にもメインの肉を食べられます。
また上記の盛り付けの場合、ところどころで肉、野菜、パンを一挙に食べられる場面が訪れます。具材の調和がもたらす美味しさを堪能する場面も用意されているのです。
このように盛り付けをちょっと工夫するだけで、ケバブサンドから得られる満足度は劇的に変わります。
ちなみにもう1つ付け加えると、いい盛り付けの例の1つとして、トリッキーな盛り付け例もあります。それは以下の写真のように、野菜と肉を縦に、というか立体的に分割するパターンです。
この盛り付けの場合、最初から最後まで肉と野菜がほぼ同じバランスで食べられます。難しいからなのか、この盛り付けをするお店は極端に少ないです。絶滅危惧種的ケバブサンドともいえます。
個人的にはバーガータイプやバゲットを使ったケバブサンドが最強だと考えます。最初から最後まで肉、野菜、パンをバランス良く食べられるので。なぜバランスが悪くて食べにくいピタパンを使ったものがスタンダードなのか、本当に謎です。
2:パンを温めている
ピタパンをしっかり温めているか、常温でカチカチのピタパンを使うかで、ケバブサンドから得られる満足度は天と地ほどの差があります。
一般的にケバブサンドはピタパンを使います。そして多くのケバブ屋では、注文を受けてからピタパンを鉄板などで焼きます。あるいはあらかじめ炊飯ジャーのようなもので温めて柔らかくしておいたものを使います。いずれにしてもピタパンは温めると小麦粉の香ばしさがあって格段に美味しくなります。
時々、常温のピタパンを使う店があるのですが、パサパサでカチカチで、パンの旨味もへったくりもありません。肉が美味しくてもパンの味気なさが勝ってしまいます。
ピタパンを温めるという一手間をかけることで、ケバブサンドの満足度は格段によくなります。
3:ソースの量、バランスがいい
キャベツに全然ソースがかかっていない。表面だけにドバドバかかっているが内部がスカスカ。その他にもキャベツの部分だけソースがドバドバにかかっているなど、ソースのバランスが悪くて残念なケバブサンドがあります。
先の盛り付けほどではありませんが、ソースのバランスは非常に重要です。ソースが少ないと生のキャベツを食べることになります。野菜がそれほど好きではない筆者からすれば、何のソースもかかっていないキャベツを食べることほど苦痛なことはありません。
まれにソースを一切使わないケバブサンドもありますが、そういった店ではドレッシングを絡めてあるサラダを使用するか、あるいはスパイスをかけているので、ソースがなくてもまったく味気なさがありません。
またソースが多すぎると、ソースがべったりついた野菜を食べる羽目になります。かかっていないよりはいいのですが、やはりバランスが大切です。
ソースの量については単なる好き嫌いかもしれません。肉そのものの味を楽しみたいという方は、ソースなんて一滴もいらないのかもしれません。
逆に肉とソースの調和を楽しみたい人は、ドバドバかけてくれるほうがいいのかもしれません。筆者としてはどちらも微妙で、やはりバランス良くかけてほしいものです。
盛り付けのバランスが良いケバブサンドは、肉、野菜、パン、ソースが調和する様子を口の中で楽しめます。レベルの高いケバブサンドは具材が調和し、新たな風味が生まれ、感動すら覚えるほど。
もしかしたらソースをセルフにしたらいいのかもしれません。それならば好みの量でソースをかけることができるので。
4:野菜がまずくない(臭くない、固くないキャベツを使っている)
ケバブサンドに使われる野菜の代表がキャベツです。このキャベツが曲者で、キャベツの質によってケバブサンドの満足度が大きく変わります。
キャベツは管理の仕方が悪かったり、使う部位によってはかなり臭みがあったり、硬かったりします。
特に青臭さがあるキャベツは、その臭さが肉やスパイス、ソースに勝ってしまい、全体的な印象が”臭いキャベツ”になってしまいます。そして残念ながらこういったキャベツを使う店が少なくありません。
美味しいケバブを出す店は、柔らかくて臭みがないキャベツを使っています。その他にもキャベツだけではなく、色々な野菜、あるいはサラダをサンドすることで、野菜の臭みを感じさせないようにしている店もあります。
たとえば新宿にあるケバブ家では、種々の野菜をカットしドレッシングを絡めたサラダを使っています。このようなケバブサンドは、まったく野菜の臭みがなく、非常に美味しいです。
ケバブにキャベツの謎
ちなみにケバブにキャベツを使うのは、日本くらいのようです。海外のケバブサンドを知っている人もそのように述べていましたし、SNSで海外のケバブサンドを調べてみても、緑のキャベツを使っているのは日本くらいであることがわかります。
どうして日本のケバブはキャベツを使うようになったのか、その理由はわかりません。おそらく価格と安定性の問題があるのでしょう。また豚カツとキャベツ、カツサンドとキャベツのような肉とキャベツを一緒に食べる国民性も関係しているのかもしれません。具体的には理由は調査中です。
一方でキャベツはすぐに臭みが出たり、芯が多かったりと扱いが難しく、またそもそもケバブサンドに合うとは言い難いです。いっそのこと、ケバブサンドのキャベツを止めてみてもいいのではないでしょうか。
おわりに|安定したクオリティのケバブを出す店は良い店だ
スタッフによる仕上がりに違いがない、安定したクオリティのケバブを出す、これは美味しいケバブの条件というよりは、美味しいケバブ屋の条件ともいえます。
たとえば美味しいケバブを出す店を見つけたとしても、別の日に訪問すると全然美味しくないことがあります。これは作り手によって盛り付けや、パンの焼き加減が異なるからです。また作り手が同じでも、店が混んでいたり、店主の機嫌が悪かったりすると大雑把に作ったケバブサンドを渡されて残念な思いをすることがあります。
毎回しっかり作ってくれなどという押し付けはできませんが、ケバブサンドの完成度にばらつきがあると、安心して利用できません。ハズレの日にあたってしまう恐怖で、その店にはいけないのです。
「スタッフによってばらつきがあることこそ人間的でいい」という意見もあるかもしれません。そういった考えも支持したいです。しかし筆者としてはやはり、金を払う以上、美味しいケバブサンドを食べたい。皆さんにも食べて欲しいです。初めてのケバブがハズレで、「ケバブは美味しくないものだ」というイメージがついてしまうのはあまりにも残念です。
ちなみに美味しいケバブ屋はいつも同じ人が作っています。作り手が変わることがないので、常に同じ完成度のケバブが食べられます。雑多なストリートフードだと思っている方もいるかもしれませんが、ケバブサンドの完成度は属人的なものであり、その意味ではケバブ屋の人は職人です。
本当に美味しいケバブサンドを食べてほしい
これまで色々なケバブ屋をまわり色々なケバブサンドを食べてきました。
ケバブを食べ歩くなかでわかったのは、残念ながらハズレが多いということです。どの店も肉の味は美味しいのですが、パンが硬かったり、野菜がまずかったり、盛り付けが雑だったり、ソースの量をケチっていたり、今ひとつのものが多いです。
繰り返しになりますが、いい加減なケバブ屋があるのもまた、ケバブ屋の魅力の1つです。異国の文化体験であるともいえます。それでも、やはり本当に美味しいケバブを食べたときの感動は本当に忘れられません。その感動の経験があるからこそ多くの人に美味しいケバブを食べてほしいです。繰り返しになりますが、ハズレのケバブを食べて「ケバブなんてこんなもんか」と思ってほしくありません。
本記事で紹介した美味しいケバブサンドの条件に当てはまる、本当に美味しいケバブが食べられるお店は、以下の記事で紹介しています。ぜひ一度、訪問してみてください。